リスクと機会、マテリアリティ

愛知時計電機では、持続的な成長を実現するため、外部環境を分析した上で、リスクを9つの分野に整理し、それぞれの機会を特定しました。その結果を踏まえ、中長期的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を抽出しました。これからも全社的な取り組みを通じて実効性を高めていきます。

リスクと機会

特定
プロセス

1 課題の抽出

国際的なガイドラインや基準および社会情勢・市場環境・自社状況の分析により特定されたリスクと機会から、課題を抽出

2 課題の重要性評価

抽出した課題をステークホルダーにおける影響度・優先度と愛知時計電機の事業運営における影響度・優先度の2軸でマッピングを実施、重要性を評価

分野 主なリスク 機会 対応
可能性 影響度 内容 時間軸

品質
製品不具合の発生によるリコール、顧客信頼の毀損 品質改善による顧客満足度向上とブランド力強化
  • 設計品質向上活動の継続
  • 品質マネジメントシステムの維持・向上
  • 品質重視の教育継続
短・中期

市場環境
顧客ニーズの急変、競合激化、原材料高騰によるコスト圧迫 サステナブル商品・高付加価値商品の開発機会、新たなエネルギー計測市場(水素等)
  • 市場動向の調査、把握、部門間での情報共有
  • 先を見た技術開発
  • 新たな市場の発掘、海外拡販
  • デジタル化に対応した製品の開発
  • DX推進による生産性向上
  • 価格転嫁戦略の推進
中・長期

海外事業
政治リスク、規制変更、現地労務問題 高付加価値商品の開発機会、新興国市場の成長を活かした収益拡大
  • 現地動向、政治情報の収集
  • 各国・地域の規則・認証要件の動向のモニタリング
  • 労務管理体制の強化と現地法令遵守の徹底
短・中期

情報通信
サイバー攻撃による機密情報漏洩や生産停止 DX推進による生産性・品質の向上
  • セキュリティ投資強化
  • サイバー訓練、社内IT教育
短・中期

財務
株式市況の変動等による財務への悪影響 財務体質強化
  • 資本効率性向上への取組み推進
短・中期

環境
製造工程におけるCO2排出や産業廃棄物、化学物質排出 環境負荷低減技術の開発・導入による競争優位の確保。脱炭素製品市場への参入
  • CO2排出量、廃棄物・化学物質排出量のモニタリング
  • 環境法令・条例の遵守の徹底
  • 環境教育の実施
中・長期

災害
地震・洪水などによる操業停止や供給網寸断 BCPの強化を通じた供給信頼性の確保
  • 定期的なBCPのアップデート
  • 災害訓練や机上シミュレーションの実施
  • サプライチェーンの強靭化(情報収集力向上、デジタル化)
  • 災害耐性の高い設備の導入推進
短期

人材
人材の流出、確保難 多様な人材活用によるイノベーション創出
  • DX推進による生産性向上(少人化による企業活動の実現)
  • 人材育成の強化
  • DE&Iの推進(女性活躍、キャリア採用、多様な働き方の環境整備)
  • 従業員エンゲージメントの向上
短・中期

コンプライ
アンス
法令違反・腐敗・不正によるレピュテーションリスク コンプライアンス文化の強化による信頼構築
  • 法令・社内規定の遵守徹底とコンプライアンス定期教育
  • 内部通報、相談窓口の設置と運用
短・中期

マテリアリティ

3 推進計画の立案と実行

各課題に取り組む部門が中心となり、目標達成に向けた推進計画を設定。経営会議で定期的に実施状況を検証し、必要に応じて取り組みを改善

マテリアリティ 取り組み 2024年度の実績 目標

品質・安全性と
信頼性の継続的向上
製品品質、情報セキュリティなどの分野で信頼性を高め、安全・安心な製品と企業運営を継続的に追求しています。
  • 開発製品の生産準備事項の強化
    (製品トレーサビリティ、工程FMEA、購入部品仕様の取り交わし)
  • 製造工程の品質管理強化
    (DX活用によるヒューマンエラー対策、現場からの品質情報吸い上げと処置体制の再構築)
  • 市場クレーム件数低減(前年比)
  • 重大品質不具合件数低減(前年比)
  • ISO9001の各部門品質目標達成率維持、向上(前年比)

市場・事業領域の
拡大
市場環境の変化を的確にとらえ、DXや技術開発による市場や事業領域の拡大への挑戦を進めています。
  • 北米向け水道メーターは増加したものの、中国向けガスメーターや欧州向け流量センサーが減少
    (海外売上高3,806百万円、海外売上比率7.0%)
  • アイチクラウドへの接続メーター数120万台達成
  • 研究開発費 1,300百万円
  • 海外売上高5,500百万円
    (中期経営計画:2027年3月まで)
  • データ配信サービス「アイチクラウド」の利用数(接続メーター数)200万台)(中期経営計画:2027年3月まで)
  • 研究開発投資の拡大
  • あいち生物多様性企業認証の取得

気候変動対応と
環境負荷の最小化
環境負荷低減と脱炭素社会への対応を加速し、製造業としての責任を果たすとともに競争優位を確立します。
  • CO2排出量削減(2013年度比) 62.4%削減
  • 岡崎工場に自然エリアの整備推進
  • 家庭用超音波式E型保安ガスメーター(EA25MT-3)で「SuMPO EPD」認証を取得
  • CO2排出量 毎年1%以上削減
  • 2050年カーボンニュートラル達成
  • 2028年度までに社用車の50%以上をHV化
  • ネイチャーポジティブ宣言

事業継続と
供給網の強靭化
BCP の整備とサプライチェーンの強靭化を通じ、レジリエントな事業継続体制の構築を図っています。
  • サプライチェーンの可視化完了
  • BCP机上シミュレーション実施
  • サプライチェーンの脆弱性の評価、リスクの高い取引先上位30%に対し、複数社購買ルートを確立、または代替品の検討の実施
  • BCPシミュレーションの実施とドキュメントの見直し(継続)

人材の多様性と
生産性の両立
多様な人材が活躍できる環境整備と人材育成を進め、DE&Iと生産性向上を両立しています。
  • 従業員エンゲージメント 3.33/5
  • 男性の育休取得率 65.0%
  • 健康経営優良法人2025認定
  • DX推進人材育成(20名)
  • くるみん2021年認定
  • あいち女性輝きカンパニー認証
  • 従業員エンゲージメント向上エンゲージメント診断結果 0.1ポイント以上UP男性育休取得 100%
  • 人材育成の強化 研修時間 10%増
  • ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)推進新卒採用(総合職)に占める女性割合平均30%人権方針策定・デューデリジェンスの実施
  • DX推進人材育成 2025年度10名

コンプライアンスと
ガバナンスの高度化
ガバナンスとコンプライアンスを経営の中核と位置づけ、透明性の高い組織運営を実現しています。
  • コンプライアンス教育(1回/月)実施率100%
  • コンプライアンスアンケート回収率 90%
  • 取締役会実効性評価 平均値4.0(2023年度)から4.2へ(5点満点)
  • コンプライアンス教育(1回/月)実施率100%
  • コンプライアンスアンケート回収率90%以上
  • 取締役会実効性評価 評点4.2点以上