気泡混入流体を計測する電磁流量計の研究開発

新興国や砂漠地域における水道料金取引に向けて、気泡混入流体の計測が可能な電磁式水道メーターの研究を行っています。

研究開発

私たちが日本国内で使用する水道は、通常24時間給水で常に給水圧がかかっていますが、海外の新興国や砂漠地域では1日の内数時間しか給水されない場合も多く、各家庭や地域で貯水タンクを設け、給水時間中にタンクに水を貯めて使用することがあります。このため、給水されていない時間帯は、供給圧もかからず水道管内が空になり、給水が再開されて再び水道管を水が通過する際に、水道管内に溜まった空気を巻き込み、気泡が混入した水が水道メーターを通過します。故に、これらの水事業体では、水使用量の正確な料金取引が行えないという問題を抱えています。当社はこのような気泡混入した水の流量計測を求める水事業体に対し、通過した水の流量だけを正確に計測する水道メーターを提供する目的で、気泡混入流体の計測技術を研究しております。

また、水事業体だけでなく、気泡混入流体の計測は気泡が混入した液体の受入量、調合量、供給量、混合量、添加量の正確な測定を求める石油化学プラント、食品プラント等の産業界においても新たな要求機能となりつつあります。また、競合となる超音波流量計は、計測原理上気泡混入した液体の流量計測はできないため、気泡混入流体の計測機能を備えた電磁流量計を実現することで、新たな差別化技術となりえます。

気泡混入流体の計測方法

電磁式水道メーターおよび羽根車式水道メーターは、気泡混入率の増加に伴って、誤差がプラス方向に大きくなる傾向を持っています。超音波式は計測原理上気泡混入した液体の流量計測は不向きであること、羽根車式は計測誤差が顕著であることから、各計測方式の中では気泡混入への耐性は電磁式が最も優れています。
気泡混入率による計測誤差が既知であれば、気泡混入率を検出することにより誤差分の補正が可能となり、通過した水の流量だけを正確に計測する水道メーターを実現できます。

■ プロセス・トモグラフィー法を用いた気泡混入率の検出(特許出願中)

当社は2016年度から2017年度までの2年間、国立大学法人千葉大学と共同研究を行い、多点電極を用いたプロセス・トモグラフィー法により計測流体に含まれる気泡混入率の検出技術を獲得しました。プロセス・トモグラフィー法は流路の周囲に多数の電極を配置し、各電極間のインピーダンスを高速で測定し、独自のアルゴリズムで流路内の固体・液体・気体の混相流をリアルタイムで可視化する計測技術です。
本研究はプロセス・トモグラフィー法を応用し、
 ① ひとつの電極に交流電圧を印加し、各電極間のインピーダンスを計測する
 ② 電圧を印加する電極を切り換える
 ③ 電極全ての組み合わせで計測する
といった一連の動作を高速スイッチング回路と独自のアルゴリズムによりミリ秒オーダーの計測時間で行っています。
電極間に気泡が存在する場合は、電極間インピーダンスが高くなるため、満水時の計測値(Η)と気泡混入時の計測値()の演算処理を行い、気泡混入率を検出しています。
(本体と回路構成、計測アルゴリズムに関し、千葉大学と共同で特許出願中)

開発者の声

大学の共同研究者が韓国の方で、技術ディスカッションや技術導入の為のコミュニケーションを英語で話さねばならず、拙い英語とボディランゲージで苦労しました。
また、大学の共同研究設備で実験を行うため、限られた期間の中で計画を立て、研究成果を挙げねばならずプレッシャーがありましたが、愛知時計電機に最新技術を導入し、新製品開発に繋げるという夢をもって開発業務に取り組めることに喜びを感じています。