微少な流れを測る 微少流量センサーの研究開発

どこまで微小な流れを計れるのか? どのように実現していくのか? 日々、技術の向上に取り組んでいます。

研究開発

微少流量を計測するためのセンサー

微少な流量を計測するためには、流量センサーを小さくする必要があります。その小さなセンサーを作製する有効な方法としてMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に注目しました。半導体製造技術を利用してシリコン基板やガラス基板などに機械的な構造を構築したMEMSセンサーは、圧力センサーや加速度センサーとして市販されているものも多数あります。
わたしたちは、シリコン基板を半導体製造技術で加工するMEMS技術により微少流量センサーの実現に取り組み、1μL/min~100μL/minの流用範囲を計測できる試作品を作製することができました。

微少流量センサーの概要

今回試作した流量センサーは、センサー部をシリコン基板、流路部をシリコーンエラストマーの一種であるポリジメチルシロキサン (PDMS)で形成しています。

センサー部は、窒化膜を施したシリコン基板上面に白金薄膜パターンを形成してヒーターおよび測温抵抗体としての機能を持たせています。また、センサー部の熱容量を小さくするため、白金薄膜パターンの下面のシリコンを異方性エッチングにより除去しています。流路部は、PDMSをあらかじめ作製しておいたモールドに流し込み、硬化させたのち切り出して前述のシリコン基板に貼り付けています。そして、最後にシリコンチューブを取り付けて試作品を完成させました。

本研究開発は、京都大学大学院工学研究科 田畑研究室のご指導のもと行いました。

微少流量センサーの概要

■ 流量計測原理

今回、試作した微少流量センサーは、白金薄膜パターンをヒーターや測温抵抗体としてセンシングする形態の熱線式センサーで、3つの基本原理で計測ができるようにしました。

■ 流量計測原理

■ センサー出力について

熱線式の基本原理で紹介したアネモメーター方式とカロリメトリック方式の出力を組み合わせることにより、理想的な流量計測を可能にしました。カロリメトリック方式は、計測範囲は狭いが流量に対する変化が大きく精度の高い計測ができます。また、流れがない0点および流れの順逆方向を判別することができます。一方、アネモメーター方式では、0点や流れの方向を判別することは非常に困難ではありますが、単調増加の流量範囲が広いという特徴があります。これらの測定原理を組み合わせて出力とすることにより、0流量および流れ方向の判別ができ、計測できる流量範囲の広い微少流量センサーを試作することができました。

■ センサー出力について

実用化に向けて

実用化に向けて、精度および耐久性、歩留まりなどの解決すべき課題がありますが、微少流量センサーの用途として、医薬品の投与や分析機器への組み込みなどを想定しております。また、技術の向上並びに実用化ニーズに結び付けられるように、流量センサー以外にもMEMS技術を利用したセンサーの研究開発を継続していきます。

実用化に向けて

■ 微少流量センサーの研究開発にあたり、大きな課題は何でしたか?

導電性を有する液体の流量を測定するため、白金薄膜パターンで形成したセンシング部を電気的に絶縁する方法を見出すのに苦労しました。当初、複雑な構造にピンホールのような欠陥のない成膜ができるということで、有機系の膜で絶縁膜の形成を行いました。情報を集めながら改良したのですが、熱式流量センサーの絶縁膜としては耐久性の面で不十分でした。一方でシリコン酸化膜や窒化膜の絶縁膜は耐久性でなく、ピンホールのような欠陥により電気的絶縁性が不十分な点に問題がありました。しかし、試行錯誤する中で積層して欠陥をカバーすることが効果的であることを見い出し、シリコン酸化膜や窒化膜の積層膜を絶縁膜とすることで絶縁性を向上することができました。

■ 微少流量センサーの研究開発にあたり、大きな課題は何でしたか?

関連情報

ここで紹介しました微少流量センサーは、展示会や学会等で試作品の展示や資料の配布を行っています。
第4回メディカルメッセ名古屋および第5回バイオメカニクス研究センター&エレクトロニクス実装学会九州支部合同研究会へ出展いたしました。

関連情報

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