超音波流量計の原理と技術
私たちの耳には聞こえない「超音波」。愛知時計電機はこの超音波の特性を生かして流量の測定を行う流量計(ガスメーター)の開発を進めています。自慢の技術の一部を簡単に紹介!
「超音波流量計」とは何か(超音波で流れを測る)
一般的に『人間の耳で聞くことが出来ない音波』を“超音波”といいます。超音波は光と似たような性質があり、直進性や反射、振動によるエネルギーの発生といった特徴があります。従来、気体や液体の流量の計測には、膜式や羽根車式が使用されてきましたが、愛知時計電機は、超音波を送信・受信し、音波が伝わる時間を正確に計測することで流量を測定する“超音波流量計”の開発を進めています。
「超音波流量計」の測定原理
流体が流れる管路内に一組の超音波センサーをそれぞれ上流・下流に置き、その間を伝わる音波の到達時間を計測します。
模式的に表現すると、風の吹く中でキャッチボールをする時に、風上からボールを投げた(音波を発射した)場合は風の抵抗が少ないので早く着き、風下から投げた場合は風の抵抗を受けるので遅く着きます。風上・風下から発信した音波が伝わる時間の差は、流体が流れる速さに比例します。超音波流量計は管路内を伝わる音波の到達時間を計測して超音波が伝わる経路の流速を算出し、さらに管路の断面積や流速分布などの補正係数を掛け合わせることで流量を出力します。
実際に生じる時間差は、ガスの場合、3L/hの時で数ナノ秒、6,000L/hの時で数十マイクロ秒という非常に小さい値です。
「小型化」を実現、「安心安全」に貢献
現在使われている主要な気体用流量計の一つである膜式ガスメーターの作動原理は、ゴム風船を膨らませては萎ませることで風船の容積を量り取る方式で、効率よく動かすには複数のゴム風船を構成する必要もあり、大きな図体をしています。
これに対し超音波流量計は、流体の流れの中に超音波センサーが一組あるだけのシンプルな構造のため、大幅な小型化が可能です。とくに業務用の膜式ガスメーターは大容量のゴム風船を必要とするため、超音波式による小型化は、より顕著に表れます。
またガス漏れなどにより生じるわずかな流れを計測するには、膜式はゴム風船が膨らむまでに時間がかかりますが、超音波式は時間差を計測すればよいのでほとんど時間がかかりません。超音波式は、より短時間でガス漏れを検知することができ、安心安全に貢献します。
「超音波式」は、気体、液体を問わず、低コスト・高付加価値が求められる計測の分野で大いに期待できる測定方式です。愛知時計電機はこれからも超音波の特性を生かした様々な計測機器を開発していきます。
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