小型・低コスト構造の液体用圧力センサーの研究開発

MEMS技術を用いたピエゾ抵抗型圧力センサーの研究を行っています。

研究開発

近年、社会インフラや設備分野でも、IoT(Internet of Things)が注目を集めています。水道管にセンサーを取付けて離れた現場の圧力情報を取得し、IoT化することで、現場の調査を行わなくても異常な水圧変動および配管の破損といった事象の把握が可能となり、日常管理業務の改善やトラブルへの早急な対応に役立てられると考えています。
IoT化に適したセンサーは、複数のセンサーを手軽に取り付けられることや取付けの自由度などが必要であり、小型・低コストであることが求められます。
圧力センサーは非常に多くの製品が市販されていますが、水道管を含む高圧・液体用の用途向けでは大型で堅牢な構造で価格が高いため、目的に対応できる圧力センサー開発はまだ不十分と考え、小型で低コストを実現できる液体用圧力センサーの研究開発に取り組んでいます。

計測原理

本研究では、小型で低コストな圧力センサーを実現するために、半導体製造技術を利用してシリコン基板やガラス基板などに機械的な構造を作製するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いています。さらにMEMS技術を用いた圧力センサーの中でもピエゾ抵抗型方式でセンサーを研究開発しています。
一般的なピエゾ抵抗型圧力センサーの構造として、圧力を受けた時の変位量が大きくなるようにシリコン基板を薄く削ったダイアフラムを形成し、応力を受けると抵抗値が変化するピエゾ抵抗をダイアフラム上に形成します(図1)。
ダイアフラムは受ける圧力の大きさに応じて変形し、ピエゾ抵抗の抵抗値が変化するので、ピエゾ抵抗の抵抗値変化を正確に読み取ることでダイアフラムが受けた圧力を知ることができます。
またピエゾ抵抗は配置の仕方によって応力の受け方が変わる(※)ので、実際のセンサーではその特性を利用してピエゾ抵抗でブリッジ回路を形成し、電気的に計測することで出力を得ています(図2、3)。

※例えば図1でR1R3は抵抗値減少、R2R4は抵抗値増加という変化の仕方をします。


計測原理

熱応力の低減

ピエゾ抵抗型圧力センサーの場合、センサーチップを保持して測定対象に取り付けるパッケージとセンサーチップとの熱膨張係数の差に起因する熱応力がダイアフラム上のピエゾ抵抗まで伝達すると圧力測定に対する誤差要因となります。高精度な計測が必要な場合は、温度補償が必要であり検査工程や電気回路の追加等によるコストの増加に繋がります。
研究開発中のピエゾ抵抗型圧力センサーは、ダイアフラムへ伝達する熱応力を低減させるために熱応力の伝達経路に溝部を設け、伝達する熱応力自体の低減を図りました(図4、5、6)。

ピエゾ抵抗へ悪影響を与えるそもそもの要因である熱応力を低減することで、温度補償をしなくても目標の圧力測定精度を満足し、温度補償のための検査や電気回路を不要にすることで、低コストに繋げることを考えています。

熱応力の低減

研究者の声

本テーマの圧力センサーは、京都先端科学大学 田畑 修 教授に技術相談させて頂きながら、一から設計しました。そのため、初めての試作では妥当な出力が出るかどうかを心配するという段階からスタートしました。頂いたアドバイスや調査した内容から設計を十分検討することで、開発当初から妥当な出力は得ることができました。しかし、最終目標に対してはまだ満足していない部分があるので、センサーチップやパッケージの改良を続けています。今後も継続して研究開発し、実用化を目指していきたいと考えております。

関連情報

ここで紹介しましたMEMS圧力センサーは第36回センサシンポジウムでポスター発表しました。

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愛知時計電機株式会社 経営企画室


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